【FL Studio】コンプレッサーを徹底解説
- Red Motion
- 2022年3月8日
- 読了時間: 7分
更新日:2024年6月21日
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目次
2. 設定方法
4. コンプレッサーとは
5. まとめ
1. 各種機能(ノブ)についての解説
具体的なコンプレッサーの各種機能について解説していきます。
Threshold
Threshold(スレッショルド)は、コンプレッサーが圧縮を開始するラインを設定します。例えば、そのラインを-6dBに設定した場合、入力された音(シンセやサンプルなどの音源)が-6dBを超えた場合にのみ、圧縮が行われることを意味します。つまり、基本的には鳴っている音よりも若干低めにラインを設定しないとコンプレッサーが作動しません。
Ratio
次にRatio(レシオ)について解説します。RatioはThreshold(圧縮開始のライン)を超えた時点で、どれくらいの圧縮を行うのか、という「割合(圧縮率)」を設定します。例えば、Ratioが2:1となっていれば、それは「Threshold(ライン)を超えた音の大きさが2分の1になる」ことを意味します。ただし、1:1であれば1分の1、つまりは同じ大きさの音なので圧縮が行われません。
Attack
Attack(アタック)は「圧縮がいつ開始するのか」を指定します。例えば、Attackを10ms(ミリセカンド、1秒=1000ms)に設定すると、コンプレッサーに音が入力されてから10msの間は圧縮されずにそのまま音が通過し、10ms後に圧縮が開始されます。要は、Attackを遅くすればするほど最初の音が大きくなります。
Release
Release(リリース)は、コンプレッサーに入力された音がThresholdの値を下回って圧縮が解除された時、圧縮の効果がどれほど持続するのかを指定します。例えば、Thresholdを-6dBとすると、入力された音が-6dB未満になると圧縮が解除されます。そこで、Releaseはその圧縮が終わる際、どのように解除していくのか、を設定します。例えば、Releaseを100msに設定した際は、入力音がThresholdの値を下回ると緩やかに100msかけて段階的に圧縮を解除していくことになります。
Gain(Makeup)
コンプレッサーは多くの場合GainかMakeupというノブが付いており、これらは圧縮して小さくなった音を大きくするためのものです。コンプレッサーは音を圧縮することで音量を均一化したり音圧を上げるので、一時的に音は小さくなります。したがって、最後の仕上げとして小さくなった音量の分大きくさせるパラメータがGainもしくはMakeupになります。
2.設定方法
コンプレッサーの機能は理解できたが、いつどういった場合にどのように使えばよいのかは難しい問題です。ここではよくあるコンプレッサーをかけるべきタイミングとその設定例をいくつか紹介します。
順序
まず、どの音にもある程度当てはまるコンプレッサーのおすすめの設定順序を紹介します。ここでは、FL Studio標準プラグインの"Fruity Limitter"に搭載されているコンプレッサーを使用します(これはリミッターの機能も持ちますが、このコンプレッサーが視覚的に分かりやすいのでこちらを使います。なお、純粋なコンプレッサーは"Ftuity Compressor"になります。)コンプレッサー機能を使うには、Fruity Limitter内の"COMP"ボタンをクリックしてください。
1. Thresholdの設定
最初にThresholdを設定します。値の基準は音によって千差万別であり、その判断は基本的に慣れで習得していくしかありません。ただ、私の経験上、入力された音をある程度下回る程度に設定すると良い場合が多いです(入力音の-6~-10dBくらい)。ちなみに、この工程では圧縮のスタート地点を決めただけなのでまだ圧縮は行われていません。
2. Ratioの設定
次にRatioをセットします。これも基準は明確にありませんが、私の場合、大抵は2:1~5:1くらいで設定しています。イメージは、1.5~2.0:1前後だとやわらかいスポンジで圧縮する感じ、10:1はプレス機のような鉄で圧縮する感じ、といったところでしょうか。とりあえずそのあたりで設定しておきます。
3. Attackの設定
次はAttackを設定します。大体の前述したように、Attackは圧縮が始まるまでの余白なので、指定した時間だけコンプレッサーがかかりません。つまり、コンプレッサーのかからない余白の時間をここでは設定します。例えば、私はパーカッションなどの音を粒立たせたいときは10ms~100msあたりで調整しています。
4. Releaseの設定
Attackが設定出来たらReleaseの長さを決めます。圧縮を長く持続させたい場合はその長さに応じて調節しす。
5. 微調整
ある程度の設定が完了したら、あとは各ノブを微調整して終了です。
音の違いが分からない方へ
私がDTMを始めたころはコンプレッサーによる音の違いがほとんど分かりませんでした。もしかしたら同じような方もいらっしゃるかもしれません。そんな時に役立った方法があります。それは、
1.Thresholdを極端に下げ、Ratioを10:1以上にする。
2.AttackとReleaseを設定
3.Threshold及びRatioを許容値まで戻していく
というものです。「Thresholdを極端に下げ、Ratioを10:1以上にする。」のはコンプレッサーの効果を許容値を超えて発揮させ、その効果を限界までわかりやすくするためです。特に、AttackとReleaseが聞き取り易くなり、設定がしやすくなります。そのうえで、AttackとReleaseを設定し、Threshold及びRatioを音を台無しにしない程度に戻します。もし前述した方法がよく分からなかった方は試してみて下さい。
3.使用例
ここでは、具体的にどのような楽器にコンプレッサーを使えばよいのか、良い例とそうでない例と両方解説し、実際にドラムに使用した例を見ていきます。
適切な例
ドラム・パーカッション
ドラムにコンプレッサーをかけると、音にアタック感を生み音をまとめることができ、ミキシングにおいては非常に重要な工程です。
ボーカル
ボーカルはレコーディングした段階で音量にかなりバラつきがありますので、一部の歌詞が聞こえない等の問題が起こります。したがって、コンプレッサーで音量を整えることは必要不可欠と言えるでしょう。
強烈なシンセサイザー(EDMなど)
EDMなどのハードなシンセが目立つジャンルではそのコンプレッサーの適応次第で曲全体の質が向上し得ます。多くは音圧を上げたり、アタックを遅くしてトランジェント(アタック付近で発生する非常に短いノイズ音や破裂音)を得たりなどを目的とします。
ベース
ベース自体は大して音量に差がありませんが、アタックを強調するためにコンプレッサーを使用することが多いです。ベースは楽曲のリズム部分を担っていることもあり、アタックを強くして音を粒だたせるとドラムに打ち消されないベースサウンドを構築することが可能です。
バッキング/リズムギター
バッキング/リズムギターはベース同様リズムを担っているため、コンプレッサーを使って音を際立たせるのは良策だと言えるでしょう。
あまり良いとは言えない例
柔らかい音(パッド系、ストリングス系)
柔らかい音にコンプレッサーをかけるのは、その良さを台無しにするのであまりよくありません。単純に音量を上げたい場合は例外です。
既に圧縮されている音源・サンプル
最近はSpliceなどで様々なサンプルが販売されていますが、中には既にコンプレッサーがかかっているものも存在します。その場合はコンプレッサーの必要性をきちんと確認しましょう。
とりあえずなんでもコンプ
コンプレッサーは万能プラグインではないので、「とりあえず」どんな音にも使うと楽曲全体が圧縮されすぎて聞くに堪えないミックスになります。どのプラグインにも言えることですが、説明できる目的意識をもって使用しましょう。
音に改善が見られない
ここまで散々コンプレッサーの解説をしてきましたが、実際に使ってみて音に改善が見られない場合は素直に外しましょう。何もすべての音にコンプレッサーをかけたからといってクオリティが上がる保証はありませんので、コンプはこの音に合わない、と判断したら使用しないのも1つの手です。
実際の使用例
ドラムにコンプレッサーをかけた例を見てみます。
まずこちらがコンプレッサーがかかっていない状態です。コンプレッサーに入力されたドラムの音が白い波形で波のように表示されています。ご覧のように、音量にばらつぎがあり、まとまりがありません。
そしてこちらがコンプレッサーをかけた状態です。先ほどの白い波形のうち、紫に変化している部分が圧縮されている部分です
最大音が-3dBで最小音が-24dBほどであるので、Thresholdは-18dBほどに設定しました。Ratioは2.2:1、Attackは9ms、Releaseは170msです。
Thresholdを越えれば圧縮が始まるのに、なぜその付近は紫に変化していないのか?
→Ratioが低く、緩やかな圧縮がThresholdを超えてから段階的に行われているためです(Thresholdを大きく超えれば超えるほど大きな圧縮がかかります)。もしRatioを最大にするとThresholdを超えた直後に100%の圧縮が行われ、リミッターとしても利用できます。
Thresholdは下げれば下げるほど重い圧縮がかかりますので下げすぎに注意しましょう。
4.コンプレッサーとは
コンプレッサーはその名の通り、「音を圧縮する」プラグインのことです。基本的に音圧を上げたい時や音量を均一化させたいときに使用し、クリアなミックスをするにあたって必要不可欠な存在です。
5.まとめ
以上でコンプレッサーの基本的な機能の解説は終わりです。分からないことやさらに知りたいことがあれば、ぜひコメントを投稿していただけると幸いです。
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